この記事では、弁護士という資格について解説します。
弁護士の基本情報
| 資格の種類 | 国家資格、業務独占資格 |
| 登録制度 | あり |
| 更新制度 | なし |
- 弁護士は国家資格です。また、業務独占資格であり、弁護士にしかできない仕事があります。具体的には、「報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすること」は、弁護士のみに許されています(弁護士法 第72条)。
- 登録制度があり、弁護士を名乗るためには、日弁連(日本弁護士連合会)の弁護士名簿に登録する必要があります。弁護士になるには、弁護士となる資格を持った上で、入会しようとする地域の弁護士会を経て、日弁連に登録請求することになります。
- 更新制度はありません。ただし、継続的に弁護士会に会費を支払う必要があります。
弁護士ができること
弁護士固有の業務
弁護士とは、法律に関する業務ができる資格です。例えば、裁判に関する仕事、企業や個人の法律に関わる交渉や仲裁に関する処理などを担当します。
他の資格の業務
あまり知られていませんが、弁護士は当然に、弁理士と税理士の業務を実施することができます。(弁護士法第3条2項)
弁護士になるには
弁護士になるには、弁護士となる資格を有した上で、弁護士名簿に登録を受ける必要があります。
では、「弁護士となる資格」とは何でしょうか?また、その資格はどのようにして得ることができるのでしょうか?
弁護士となる資格
「弁護士となる資格」とは、以下のいずれかをいいます。
- 司法修習生の修習を終えた者(弁護士法第4条)
- 法務大臣の認定を受けた者(弁護士法第5条)
ほとんどの場合、1の司法修習生の修習(いわゆる司法修習)のルートを選択することになるでしょう。司法修習は、最高裁判所が実施する、約1年間の研修です。
ただし、司法修習が不要な2のルートも用意されており、これは「弁護士資格認定制度」と呼ばれています。
司法修習を受ける場合
司法修習生として採用されるのは、司法試験に合格した者です。
心身の不調などにより司法修習を受けることが困難な場合などは、仮に司法試験に合格したとしても、司法修習生には採用されません。
司法修習生として採用されたとしても、必ず修了できるわけではありません。
司法修習では、まず、司法研修所における導入修習を行い、その後、各実務修習地において約8か月の分野別実務修習を行います。分野別実務修習が終わると、各実務修習地における選択型実務修習及び司法研修所における集合修習をそれぞれ約2か月間行います。
修習期間の最後に、司法修習生考試が実施され、これに合格するとようやく、判事補、検事又は弁護士となる資格を取得します。
司法修習を受けない場合
司法修習を受けずに、「弁護士資格認定制度」を利用して弁護士となる資格を得る場合の、具体的な条件は以下の通りです(弁護士法第5条)。司法試験合格後に、企業法務などの一定の職に通算5年〜7年従事することで、認定のための研修を受けることができるようになります。
法務大臣が、次の各号のいずれかに該当し、その後に弁護士業務について法務省令で定める法人が実施する研修であつて法務大臣が指定するものの課程を修了したと認定した者は、前条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有する
- 司法修習生となる資格を得た後に簡易裁判所判事、検察官、裁判所調査官、裁判所事務官、法務事務官、司法研修所、裁判所職員総合研修所若しくは法務省設置法(平成十一年法律第九十三号)第四条第一項第三十五号若しくは第三十七号の事務をつかさどる機関で政令で定めるものの教官、衆議院若しくは参議院の議員若しくは法制局参事、内閣法制局参事官又は学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学で法律学を研究する大学院の置かれているものの法律学を研究する学部、専攻科若しくは大学院における法律学の教授若しくは准教授の職に在つた期間が通算して五年以上になること。
- 司法修習生となる資格を得た後に自らの法律に関する専門的知識に基づいて次に掲げる事務のいずれかを処理する職務に従事した期間が通算して七年以上になること。
- イ 企業その他の事業者(国及び地方公共団体を除く。)の役員、代理人又は使用人その他の従業者として行う当該事業者の事業に係る事務であつて、次に掲げるもの(第七十二条の規定に違反しないで行われるものに限る。)
- (1) 契約書案その他の事業活動において当該事業者の権利義務についての法的な検討の結果に基づいて作成することを要する書面の作成
- (2) 裁判手続等(裁判手続及び法務省令で定めるこれに類する手続をいう。以下同じ。)のための事実関係の確認又は証拠の収集
- (3) 裁判手続等において提出する訴状、申立書、答弁書、準備書面その他の当該事業者の主張を記載した書面の案の作成
- (4) 裁判手続等の期日における主張若しくは意見の陳述又は尋問
- (5) 民事上の紛争の解決のための和解の交渉又はそのために必要な事実関係の確認若しくは証拠の収集
- ロ 公務員として行う国又は地方公共団体の事務であつて、次に掲げるもの
- (1) 法令(条例を含む。)の立案、条約その他の国際約束の締結に関する事務又は条例の制定若しくは改廃に関する議案の審査若しくは審議
- (2) イ(2)から(5)までに掲げる事務
- (3) 法務省令で定める審判その他の裁判に類する手続における審理又は審決、決定その他の判断に係る事務であつて法務省令で定める者が行うもの
- 検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)第十八条第三項に規定する考試を経た後に検察官(副検事を除く。)の職に在つた期間が通算して五年以上になること。
- 前三号に掲げるもののほか、次のイ又はロに掲げる期間(これらの期間のうち、第一号に規定する職に在つた期間及び第二号に規定する職務に従事した期間については司法修習生となる資格を得た後のものに限り、前号に規定する職に在つた期間については検察庁法第十八条第三項に規定する考試を経た後のものに限る。)が、当該イ又はロに定める年数以上になること。
- イ 第一号及び前号に規定する職に在つた期間を通算した期間 五年
- ロ 第二号に規定する職務に従事した期間に第一号及び前号に規定する職に在つた期間を通算した期間 七年
司法修習生となる資格
仮に司法修習を受けずに、「弁護士資格認定制度」を利用する場合であっても、その条件として「司法修習生となる資格」が要求されます。
「司法修習生となる資格」とはすなわち、司法試験に合格することです。
つまり、弁護士になる上で、司法試験合格は避けては通れません。
※厳密には、旧司法試験などの過去の試験の合格者も、司法修習生となる資格を有します
司法試験
司法試験は、言わずと知れた日本最高峰の難易度を誇る超難関試験です。
そして、司法試験は、受験資格を得ることすら、簡単ではありません。
司法試験を受けることができる人は、以下のいずれかです。
- 法科大学院課程(いわゆるロースクール)の修了者
- 司法試験予備試験の合格者
法科大学院課程の修了が基本的なルートではありますが、昨今は予備試験ルートの人気が高まっています。そして、実は予備試験というのは司法試験以上に難しい試験として知られています。
法科大学院
法科大学院には、法学未修者コース(3年)と法学既修者コース(2年)があります。
法学未修者コースは、法律の学習をしたことがない人などを対象とする3年間のコースです。法学既修者コースは、法律の基礎知識を既に修得している人を対象とする2年間のコースであり、法学未修者コースの1年目の課程が免除され、2年次の科目から学修を開始することになります。
社会人などが働きながら弁護士を目指す場合、法科大学院に通うのはかなりハードルが高いです。また、大学の学部在籍中など、他の学校に在籍している場合は、基本的に法科大学院への在籍はできません。
当然、法科大学院に入学するためには入学試験に合格する必要があります。そして、法科大学院の入学試験を受けるためには、原則として大学を卒業する必要があります。
予備試験
法科大学院に通わずとも司法試験の受験資格が得られるのが、予備試験のメリットです。ただし、本来は法科大学院で2年または3年の学習をすべきところをスキップする制度ですので、難易度は極めて高く、司法試験よりもさらに難しいことで有名です。
予備試験は、誰でも受験することができます。
まとめ 〜弁護士になるための5ステップ〜
弁護士までの道を整理すると、以下の5ステップになります。
1から3は、それぞれが超難関です。弁護士になるのがいかに難しいか、お分かりいただけたかと思います。